「STLデータ」ってご存知ですか?
STLは、Stereolithographyの略で、CADソフトにおけるファイルフォーマットの一つです。
3Dデータの一番一般的な形式で、無数の点群とそれらを連ねた三角形ポリゴンで構成されています。
2次元の画像ファイルで一般的なフォーマットとしてjpegファイルがありますが、3次元の一般的なフォーマットとしてSTLファイルがあります。
IOSで取得できる3Dデータは基本的にSTLデータです。この汎用性の高いSTL形式でラボとやり取りする形が一般的です。
歯科で用いられる3Dデータの保存形式は、基本的に中間データ形式です。
この場合、同じソフトウェアを所持していなくてもデータのやり取りが可能です。
オープンデータとも言います。
当院で採用したIOS、MEDIT i700では、中間データであるSTL、PLY、OBJ形式で出力可能です。
最近のIOSでは、カラーデータを保持できるのが一般的です。STL形式ではカラーデータを保持できないので、PLY形式で色の再現をすることになります。
患者様へのIC(インフォームドコンセプト)をより充実させることが可能となりました。
少し脱線しましたが、STLデータは、三角形ポリゴンの集合体です。
三角形だけで立体を表現しようとした場合、
①平面であれば簡単です。
適当な点を幾つかとって繋ぎ合わせれば平面の再現は簡単です。
②曲面だと少し難しくなります。
三角形ポリゴンのみで曲面を再現しようとした場合、点群データを多くすれば精度は上がりますが、それだけPCが重くなりますし、それによって処理速度が低下します。
綺麗な球体をSTLデータで表現しようとした場合は、細かな三角形ポリゴンがたくさんあればそれだけ精度は上がりますが、容量が重くなります。
③角は特に難しい
角=エッジといいます。エッジ部分は特にSTLデータで再現が難しいポイントです。
角張った部分は、三角形ポリゴンで3Dデータを再現しようとするととても多くの点群が必要となります。
支台歯形成の場合に問題となるのは、フィニッシュラインや逆屋根形成の縁端部、インレー形成時のボックス部分の縁等があります。
デジタルワークフローにおいては、いかに丸めるかが重要なポイントとなります。
フィニッシュラインについては丸めると良くないので、少しオーバーハングした形で形態をデザインし、模型を3Dプリンターで起こした上で最後は人の手で調整すると良いでしょう。
ここが、フルデジタルに移行できない最大の問題点だと思っています。
当院では必ず模型を作成し、最後は技工士による調整を加えた上で患者様のところへ納品するようにしています。
IOS毎に、エッジ部分は点群をより増やすようなアルゴリズムがあります。
平面はどのくらいの点を用意するか、曲面はどうするか、エッジ部分はより多く点を配置しよう等の企業努力があります。
いずれにしても、デジタルワークフローにおいて、角や曲面は無いほうが良いです。それ以外の要素もたくさんあります。アンダーカットがあったら言語道断、テーパーは16度±4度くらいにしようとか、フィニッシュラインが分かりにくい形成もダメですね。クリアランスもしっかりと確保しないと技工士さんが作りにくい補綴装置になってしまいます。
デジタルに移行していく中で、一番求められるのは、いかにデザインしやすい形成か、修復物の厚みを担保できるか、この辺りをしっかりと把握した上で、ドクターがしっかりと形成することがとても大事だと思います。
STLデータについてはこの辺で!また次回お会いしましょう。
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